「給湯暖房機」とは?「給湯器」との違いや価格差、選び方をわかりやすく解説

「『給湯暖房機』という言葉を最近知ったけど、『給湯器』とは同じもの? それとも違うもの?」とお悩みではありませんか?
結論から述べると、「給湯器」と「給湯暖房機」は別の機器です。
「給湯器」と「給湯暖房機」の違いをよく知って、自分の家庭に合うほうを選ぶ必要があります。
今回の記事では、
- 「給湯器」と「給湯暖房機」の違い
- 「給湯暖房機」を導入することで使えるようになる設備
- 「給湯器」と「給湯暖房機」の価格差
- 「給湯器」と「給湯暖房機」で悩んだ場合の判断軸
などについて、詳しく解説していきます。
「給湯器」と「給湯暖房機」の違い

給湯器の種類や違い | 給湯器 | 給湯暖房機 |
---|---|---|
どんな機器? | お風呂・キッチンなど生活で使うお湯を沸かす機器 | 左記の機能に加えて、温水を利用する暖房機器を備えた機器 |
機能 | ・お湯張り ・追焚き ・給湯(シャワーなど) | ・お湯張り ・追焚き ・給湯 ・温水暖房機器への温水供給(※1) |
特徴 | お湯を使う場所に直接供給するシンプルな機能のため、比較的安価でコンパクトな製品が多い | 1台で給湯と暖房の両方をまかなうことができるため、給湯器よりも本体サイズが大きく、価格も高い |
(※1 温水暖房機器とは、温水式の「床暖房」「浴室暖房乾燥機」「パネルヒーター」「蓄熱暖房機」などのことを指します。)
上記の表は、「給湯器」と「給湯暖房機」の違いを簡単にまとめたものです。
つまり、給湯器は「お湯を沸かすことに特化した機器」で、給湯暖房機は「お湯を沸かす機能に加えて、温水を利用して部屋を暖める機能を持った機器」ということになります。
現在の自宅で温水式の床暖房や浴室暖房乾燥機を使用している場合は、おそらく給湯暖房機が設置されています(給湯器+熱源機の可能性もあり)。
「給湯暖房熱源機」とは?
給湯器・給湯暖房機に加えて、「給湯暖房熱源機」という言葉も聞いたことがあり、その違いを知りたい方もいると思います。
「給湯暖房機」と「給湯暖房熱源機」は、基本的には同じ機器のことを指します。
「呼び方が違う」というだけです。
両機器とも、お湯を沸かす「給湯機能」に加えて、温水を利用して床暖房や浴室暖房乾燥機などの暖房を行う「暖房機能」を備えています。
給湯暖房機・給湯暖房熱源機と同じ機器のことを指す名称は他にもあり、
- 温水暖房付給湯器
などがあります。
またメーカーによって、製品シリーズ名がそのまま通称になっている場合があります。
リンナイ:「RUFH-」「RVD-」などで始まる品番の製品が、給湯暖房熱源機に該当
ノーリツ:「GTH-」などで始まる品番の製品が、給湯暖房熱源機に該当
上記の呼び名は、機能やメーカーによって使い分けられていますが、「給湯と温水暖房の機能を1台でまかなう機器である」という点は共通しています。
「熱源機」とは?
「給湯器」と「熱源機」は異なる機器で、以下のような違いがあります。
- 給湯器:お風呂やキッチンなどで使うお湯を直接沸かす機器
- 熱源機:温水暖房機器で使う温水を作り、循環させる機器
先述の「給湯暖房熱源機」は、上記「給湯器」と「熱源機」の機能を併せ持つ機器のことを指します。
呼び名の違いはややこしい?
ここまで説明してきたように、給湯器に関連する呼び名は様々あります。
「給湯器」と「給湯暖房機」を同じと考えている方も多くいますし、“温水式”の床暖房・浴室暖房乾燥機について、「“電気式”だと思っていた」という方もいます。
また、現在使用している給湯器が、「熱源機能を持っているのか知らない」という方も多いです。
お使いの機器が「給湯器」か「給湯暖房機(給湯暖房熱源機)」なのかは、給湯器本体に貼り付けられた銘板シールの品番を見ることで、確認することができます。
「給湯暖房機」を導入することで使えるようになる設備

給湯暖房機を導入することで、様々な設備が使えるようになります。
主な設備は、
- 温水式床暖房
⇒ 床下に温水を循環させて、足元から部屋全体を暖める - 温水式浴室暖房乾燥機
⇒ 浴室を暖めたり、浴室に干した衣類を乾燥させる
上記の2つです。
そして上記よりは例が少ないかもしれませんが、
- 温水式ルームヒーター
⇒ 室内で火を使わずに温風を出す暖房器具 - 温水式パネルヒーター
⇒ 壁に取り付け、輻射熱(遠赤外線)で部屋全体をじんわり暖める暖房器具 - ミストサウナ
⇒ 浴室に温かい霧状のミストを発生させ、サウナのような効果を得られる - 脱衣室暖房
⇒ 冬場のヒートショック対策として、脱衣室を暖める暖房器具
なども、使うことができるようになります。
上記の設備は、いずれも給湯暖房機から供給される温水を利用して稼働し、1台の機器で家全体の給湯・暖房をまかなうことができます。
特にヒートショック対策(※3)など、家族の安全・快適性を重視する方にとっては、給湯暖房機はとても便利な機器であるといえます。
(※3 「ヒートショック」とは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、失神や心筋梗塞、脳卒中などの健康被害を引き起こす現象のことです。)
「給湯器」と「給湯暖房機」の価格差

「給湯器」と「給湯暖房機」には価格差があり、基本的には「給湯暖房機」のほうが価格が高いです。
具体的には、「給湯器」と「給湯暖房機」の価格差の目安は、「+5~10万円以上」となります。
給湯器の「号数」ごとの価格差
さらに以下では、給湯器の「号数(※4)」ごとの価格差の目安も見てみましょう。
(※4 給湯器の号数とは、お湯を供給する能力の高さを示し、一般的に号数が大きくなるほど本体価格も上がります。)
- 16号(1人~2人暮らし向け)との差:+5~10万円
- 20号(2人~3人暮らし向け)との差:+7~10万円
- 24号(4人暮らし以上向け)との差 :+8~10万円以上
上記でわかるように、「給湯器」と「給湯暖房機」の価格差について、号数による大きな違いはありません。
わずかながら、号数が大きくなるほど全体的な価格が高くなるため、結果として差額も大きくなる傾向があります。
なお、ここまでの価格差は、「割引などが適用された状態」「工事代金を含んだ状態」で試算しています。
ちなみに価格の目安は次の通りです。
給湯器の号数 | 給湯器 | 給湯暖房機 |
---|---|---|
16号 | 約15〜20万円 | 約20〜30万円 |
20号 | 約18〜25万円 | 約25〜35万円 |
24号 | 約20〜30万円 | 約28〜40万円 |
※工事代金を含む
「給湯暖房機」の価格に関する注意点
詳しくは後述しますが、給湯暖房機は「暖房用の配管工事」が必要になるため、通常の給湯器の交換工事よりも、15,000円ほど工事費用が高くなります。
また、業者による価格差もあり、
- 大手ガス会社
- リフォーム業者
- 給湯器の専門業者
など、購入先によっても価格が大きく異なります。
「給湯器」から「給湯暖房機」に交換することは可能?

「給湯器」から「給湯暖房機」への交換工事は可能です。
しかし、単に機器を入れ替えるだけではなく、暖房用の配管工事と、給湯暖房機がエコジョーズ(※5)の場合は、ドレン排水工事が必要になります。
(※5 エコジョーズとは、従来型のガス給湯器よりも少ないガス消費量で、効率よくお湯を沸かすことができる、省エネ性の高い給湯器のことです。)
暖房用の配管工事は、従来の配管にプラスして「暖房用配管(往き・戻り)」の計2本を作る工事のことです。
既存の暖房設備がある場合は、その設備と新しい給湯暖房機の配管を接続しますが、暖房設備がない場合は、暖房設備自体の設置工事も同時に行う必要があります。
「床暖房や浴室暖房乾燥機などの機器の位置」と「給湯器の位置」が遠い場合や、スペースを用意しにくい場合など、お家の状況によっては大掛かりな工事になります。
浴室暖房乾燥機を天井に取り付けるためのスペースがなく、壁に取り付けることになるなど、物理的に不可能で妥協が必要な場合もあります。
【事例】給湯器と熱源機を1つにまとめることも可能
「給湯器」と「熱源機」を1つにまとめる(「給湯暖房機」を設置する)ことも、可能です。
以下では、当社『クサネン』で実際に行った、「給湯器」+「熱源機」⇒「給湯暖房機」の交換事例をご紹介します。

- 地域:滋賀県守山市
- 費用:28万円
- 工期:3.5時間
15年ほどお使いの浴室暖房乾燥機にエラー「140番」が表示され換気しか使えず、年数も経っていることから修理が不可能ということで、浴室暖房乾燥機の交換を検討されていました。
後日現場調査へ伺い、故障箇所の確認を行ったところ、浴室暖房乾燥機の換気と涼風機能は正常に作動しました。
しかし、お使いの床暖房が温まらないことから、浴室暖房乾燥機の故障ではなく、熱源機の故障であると判明しました。
給湯器と熱源機は、それぞれ20年ほどお使いでした。
- 別々に設置されている機器を1つにまとめることで、省スペースになる
- 別々で交換するよりも、工事費が抑えられる
- 給湯器をエコジョーズにすることで、床暖房の光熱費などを削減できる
上記のメリットを考慮して、「給湯器」と「熱源機」を「給湯暖房機」として1つにまとめることを選択されました。
実際にまとめて交換する場合と、別々で交換する場合のお見積り金額の差は、4万円以上あり、お得に交換することができました。
<事例を詳しく見る>
⇒ 別々に設置されていた給湯器と熱源機を1つにまとめました!
「給湯器」にするか「給湯暖房機」にするか悩んだ場合の判断軸

「給湯器」にするか「給湯暖房機」にするか悩んでいる場合は、
- 今、どんな暮らしをしているのか
- 今、どんなことに不便を感じているのか
- これから、どんな暮らしをしていきたいのか
上記を明確にすることから、始めてみましょう。
1.現在の暮らしと今後導入したい設備から考える
「暖房機能は不要でお湯を沸かす機能だけで十分」なら「給湯器」がオススメ
- 現在、床暖房・浴室暖房乾燥機などの暖房機器を使っていない
- 上記について、今後も導入する予定がない
- 暖房はエアコンやファンヒーターなどで十分と考えている
上記のような方は、「給湯器」を選ぶことがオススメです。
「お湯を沸かす機能と暖房機能の両方が欲しい」なら「給湯暖房機」がオススメ
- 現在、床暖房・浴室暖房乾燥機などの暖房機器を使っている、または使いたい
- ヒートショック対策として、浴室や脱衣所を暖めたい
- 1台で家全体の給湯と暖房をまかない、配管をシンプルにしたい
- 部屋の空気を汚さない、安全な暖房を求めている
上記のような方は、「給湯暖房機」を選ぶことがオススメです。
2.初期費用とランニングコストから考える
「初期費用を抑えることを最優先する」なら「給湯器」がオススメ
給湯器は、本体価格と工事費用が比較的安く、初期費用を抑えることができます。
しかし暖房機器を別に設置する場合は、それぞれの機器の購入費・設置費、ランニングコストなどがかかってしまいます。
「初期費用が高くなっても、トータルコストを安くする」なら「給湯暖房機」がオススメ
給湯暖房機は、本体価格と工事費用が比較的高く、初期費用が大きくなります。
しかし1台で給湯と暖房をまかなえるため、長期的なトータルコストで考えると安価になりやすいです(=ガスを効率よく使うことにより、月々の光熱費が安くなる)。
3.将来のライフプランから考える
「今後リフォームや設備追加の予定がない」なら「給湯器」がオススメ
今後リフォームや設備追加の予定がない場合は、給湯器の取り付けがオススメです。
しかし、将来的に床暖房などを追加したくなった場合、改めて給湯暖房機への交換が必要となり、二度手間かつ余計な費用がかかってしまうため、注意が必要です。
「今後リフォームや設備追加の予定がある」なら「給湯暖房機」がオススメ
将来的に床暖房や浴室暖房乾燥機などを設置する予定がある場合、最初から給湯暖房機を導入しておけば、追加工事がスムーズで費用も抑えられます。
しかし、導入後の暖房機能の利用頻度が低いと、初期費用の回収が難しくなる可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
以上、「給湯器」と「給湯暖房機」の違いや価格差、どちらの機器にするか悩んだ場合の判断軸などを、詳しく解説しました。
<「給湯器」と「給湯暖房機」の違い>
- 給湯器 :お湯を沸かすことに特化した機器
- 給湯暖房機:お湯を沸かす機能に加えて、温水を利用して部屋を暖める機能を持った機器
1台で給湯と暖房をまかないたい方、ヒートショック対策として浴室や脱衣所に暖房を取り入れたい方などは、「給湯暖房機」の取り付けがオススメです。
「暖房機器は欲しいけど、大掛かりな工事が必要になるのはちょっと……」という方は、「電気式」を選択することも1つの方法です。
電気とガス、どちらも対応できる業者に相談するとよいでしょう(当社『クサネン』も、電気・ガス両方に対応が可能です)。
カテゴリー